国学院大学北海道短期大学部国学院大学北海道短期大学部

平成30年度第36回卒業式を挙行いたしました(学長式辞)

2019年3月25日

 3月19日(火)、平成30年度第36回卒業証書・修了証書授与式を挙行いたしました。
 国文学科76名、総合教養学科96名、幼児・児童教育学科56名の本科生合計228名と専攻科3名、総数231名が学び舎を巣立ちました。
 式典の中で、学長は次のように式辞を述べました。
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平成30年度卒業式式辞(要旨)
一日、一日を、一年中の最善の日に


 めでたく卒業・修了された諸君、ご参列のご家族の皆様、卒業・修了を寿ぎ、お祝いの言葉を贈ります。
 誠におめでとうございます。
 本日をもって、諸君は短期大学士として新たな人生に挑戦して行くことになります。
 三つのことを申し上げます。

 第一は、諸君に贈った言葉、「浄く、明るく、正しく、直く」についてです。千三百年前の『続日本紀』、宣命に出てきます。「まことの心」として、日本人が最も大切にしてきたひとつでしょう。私からのささやかなプレゼントを読んでみましょう。

「浄く、明るく、正しく、直く」
日本人の感性が育んだ文化 民族が歩んできた歴史の道 日本の心を大切にしたい
たった一度の人生 二度とない人生だから 苦しい時も悲しい時も 
怒らず、恐れず、悲しまずに 胸を張って歩いてゆこう 日本人が大切にしてきた道がある
古典と校歌が示す格調高い道 浄く、明るく、正しく、直く その道をおおらかに歩んでゆこう

 第二は、「挑戦せずして成功なし」ということ。私は、書斎に飾ってあるこの色紙に励まされてきました。
「その日 その日が 一年中の 最善の 日なり」
 人生には、嬉しい日もありますが、悲しい日も、悔しい日も、辛い日も、腹立たしい日もあります。人生を「最善の日」とひとくくりにできるものではありません。それでもなお、最善の日といい得る人生をおくりたい。
 そのためには、「こうなりたいという自分」に成るために、ひたむきに励み続けることです。挑戦せずして成功はあり得ません。
 「成功とは失敗しない事」ではありません。成功するまで挑戦し続ける精神力と粘り強さが成功に結びつくのです。
 日本人が古来から大切にしてきた、「今、この時、目の前にあることに懸命に生きる」、つまり「中今(なかいま)」の精神が、別の言葉で示されているのだと思います。
 インド独立の父、マハトマ・ガンジーの言葉です。
「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい」
 一日、一日を、大切にしたいと思います。

 第三に、
 「國體の講明」と「徳性の涵養」についてです。
 諸君は、入学時から國學院の「建学の精神」として、この考え方を学んできました。
 唐突な話をします。
 二千年以上も前に地中海で繁栄をきわめ、世界に君臨した通商国家がありました。カルタゴです。この国は、軍事大国である古代ローマ帝国に滅ぼされました。ギリシャもイスラエルも同様でした。
 しかし、ギリシャの文明・文化・芸術・思想は、現代までその影響を色濃く残しています。古代オリンピック発祥の地であり、政治の理想とするデモクラシー(民主主義)を実現し、ソクラテス・プラトン・アリストテレス等の現代にまで影響を与える多くの哲学者を生みました。イスラエルは、二千年の時を経て再び建国しました。
 一方、経済大国カルタゴは、わずか七百年の歴史で地上から完全に姿を消しました。
 カルタゴは、「経済力のほかには、政治的な、知的な、倫理的な進歩を目指す何の努力もしなかった」と歴史家は解説しています。
 「富を手段」としたギリシャと「富を目的」としたカルタゴとでは、決定的な違いを生んだのです。
 現代の日本は、経済的繁栄を「手段」としているのでしょうか、それとも「目的」としているのでしょうか。
 日本は、現存する国では世界で最古の国家です。この国は間もなく諸君に手渡されます。国学院大学の建学の精神である「國體の講明」と「徳性の涵養」を常に心に刻んで、我が国の基礎を強固にし、諸君の人生の本分を尽くして欲しいと願っています。
 
 「浄明正直の心を持って生きる」、「挑戦せずして成功なし、そのために一日一日を最善の日に」「建学の精神を心に刻んで、諸君の人生の本分を尽くす」ということについて、申し上げました。

 本学を応援していただいている多くの皆様には、大変お世話になりました。学生たちは、皆様の行き届いたご支援を深く心に刻んでこの学び舎から去って行きます。多くの学生たちが、この地は第二の故郷だと評しています。誠にありがとうございました。
 学生諸君は、その感謝の気持ちを忘れずに持ち続けて欲しいと思います。
 さあ、この時、
「自分の人生に対する責任を果たし、立派な人間として生きることを誓い合おう」

     平成31年3月19日

国学院大学北海道短期大学部
学長 田 村   弘
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 田中 彩子さん(国文学科)、戸井 隆冶さん(総合教養学科)、高橋 優花さん(幼児・児童教育学科)、小野寺 柚月さん(専攻科福祉専攻)が各学科を代表して田村学長より卒業・修了証書を拝受しました。
 続いて、学生や地域のために顕著な活動をしたとして高橋 沙耶さん(国文学科 ※高は外字)、「全国まちづくりカレッジin空知」実行委員会代表 立目 樹さん(総合教養学科)に学長賞が贈呈されました。
 その他、冨澤 美都さん(幼児・児童教育学科)に全国保育士養成協議会会長賞が、梅津 里穂さん(専攻科福祉専攻)に日本介護福祉士養成施設協会会長賞が、齋藤 美聖さん(国文学科)に全国実務教育協会会長賞(ビジネス実務士)が、小林 隼汰さん(総合教養学科)に全国実務教育協会会長賞(情報処理士)がそれぞれ贈呈されました。
 卒業生を代表しての答辞は熊谷 朱香さん(総合教養学科)が述べました。
 式典終了後には、明治神宮企画部百年企画課担当課長 高澤 信貴 氏(※高は外字)による記念講演会「北海道が繋いでくれた縁~明治神宮と私」が行われました。

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